糖質制限とダイエット
おしえて、先生!
子どもや高齢者の糖質制限ダイエットは危険?糖質制限をすすめない人とは?
監修 医師・大学教授 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 川浪 大治
ねぇねぇ、とーしつせーげんダイエットって今とても人気だけど、誰でもやっていいダイエットなの?
メタボのおまえは、絶対やった方がいい!だけど…確かにお年寄りとか、ちびっことかは控えた方がいいかもだよな。そのあたり、糖質制限のことに詳しい川浪先生に聞いてみよう!
糖質制限と筋トレを組み合わせたライザップの登場などで注目を集めた糖質制限ダイエット。高齢者や子どもが行っても問題ないのでしょうか。専門家が解説します。
糖質制限をしない方がよい人ってどんな人?
めたぬき、きっつん、こんにちは。糖質制限をしない方がいい人がいるのかどうかが知りたいのですね。結論から言うと、糖質制限をお勧めできない人はいます。それは一体どんな人なのか、詳しく説明しますので、参考にしてくださいね。
妊婦さんは糖質制限を避けましょう
まず、糖質制限で注意が必要なのは妊婦さんです。胎児にとって糖質はとても大切なもので、母親が摂った糖質がブドウ糖に変わり、胎盤を通過して胎児の栄養として届けられています。母親が糖質を摂らなければ胎児が成長に必要なエネルギーを摂れなくなってしまうので、妊娠中は糖質制限を避けるべきでしょう。
また、糖質制限によって体内のケトン体が増加するとケトーシスという症状に陥る可能性があります。ケトン体とは体内の脂肪が変化して作られる物質でエネルギー源にもなりますが、過剰に増えると胎児に悪影響を与える恐れも考えられます。
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持病のある人も要注意
次に、持病のある人です。持病のある方が皆一律に糖質制限をしてはいけないということではありませんが、主治医に自分が糖質制限をしても大丈夫な状態なのかを相談してから取り組みましょう。
特に腎臓病の持病がある人や腎機能が低下している方は要注意です。糖質制限をすることでタンパク質の摂取量が増えすぎると、腎臓に負荷がかかりタンパク尿が増えたりする可能性があります。また、血管にも負担がかかって動脈硬化が進む危険性もありますので、高血圧や心臓病の疾患を持つ方も気をつけた方がよいでしょう。
高齢者の糖質制限はハイリスク!
高齢者が糖質制限をする場合の注意点
高齢者も糖質制限をする場合は注意が必要です。まず、糖質制限をすると筋肉が落ちてしまい、サルコペニアという筋肉量の減少や筋力の低下を起こす疾患につながる恐れもあります。サルコペニアになると、日常生活の動作に支障がでるだけではなく、心臓病や糖尿病などの疾患を持っている方は悪化するリスクが高まると考えられています。
また、高齢者は臓器の老化が進んでいるため、腎臓や血管トラブルが起きやすい状態です。しっかり食べてエネルギーを十分に摂取しないと脱水傾向になることもあるので、無理な糖質制限はお勧めしません。
高齢者が糖質制限ダイエットをするメリット
高齢者が糖質制限に取り組むメリットを挙げるとすれば、まず肥満気味の方は体重減少の効果が期待できること。そして糖質制限によってオートファジー(細胞の自浄作用)が活性化し、アンチエイジング効果が期待できることです。
オートファジーは飢餓状態で活性化し、栄養過多な状態では働きが落ちるといわれています。飢餓状態とまでいかなくても、糖質制限によってある程度のエネルギー摂取量を制限することで、老化から体を守る機能が高まることが期待できると考えられています。
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高齢者が糖質制限するときに気をつけること
高齢者が糖質制限ダイエットをするのであれば、極端に糖質を制限しすぎないように気をつけていただきたいです。ダイエット中でも1日の糖質摂取量の目安として130g程度の糖質を摂ることをお勧めします。
筋肉にとって糖質は大切な栄養素です。筋肉はタンパク質をしっかり摂っていれば大丈夫だと思われがちですが、糖質もきちんと摂っていないと筋肉量が落ちてしまうんですね。
子どもが糖質制限しても大丈夫?
子どもは極端な糖質制限は避けるべし
小学生や中学生といった子どもが糖質制限をすることはあまりお勧めできません。糖質は発育に必要な栄養素なので、必要以上に制限しない方が望ましいです。肥満で糖質を摂りすぎている子どもであれば、糖質をある程度制限してもよいと考えられますが、極端な糖質制限にならないように気をつけてください。
子どもが糖質制限するメリットはある?
高齢者と同じく、子どもでも肥満がある場合は体重減少の効果が期待できますが、持病悪化のリスクが高まる恐れがあるので十分に注意してください。
子どもが糖質制限するときに気をつけること
何と言っても糖質を制限しすぎないことに尽きます。「夕食のお米の量を減らす、少しだけ我慢する」くらいのゆるやかな糖質制限に留めておいていただきたいです。間食で糖質を摂っている場合は、その分の間食を減らす、または糖質を意識した間食に変えるなどの工夫が望ましいと言えます。
糖質制限は短期間で減量が期待できる効果的なダイエット方法ですが、極端な糖質制限は安全とは言い切れません。そこで、夕食だけ炭水化物を少なめにするといったゆるやかな糖質制限がおすすめです。加えて決まった時間に食事をとることや食べる順番も大切ですよ。
とーしつせーげんって積極的にやっちゃいけない人もいるんだね。仕方ない。ボクも超ゆるゆるダイエットに切り替えるか。
いやいや、おまえはしっかり制限しろっつうの…。
糖質制限ダイエットは、主食(炭水化物)の見直しからはじめよう
毎日食べるごはんだから。続けることが何より大事だから。
私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。
お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。
監修
医師・大学教授
福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 川浪 大治
・1998年 福岡大学医学部医学科卒業
・1998年 虎の門病院 内科研修医
・2004年 東京慈恵会医科大学 大学院博士課程修了
・2013年 同 糖尿病・代謝・内分泌内科 講師
・2018年 同 准教授
・2019年 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 教授
現日本内科学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会の専門医として診療に従事。
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