糖質制限とダイエット
調べてみた!試してみた!
ご飯(お米)を食べても痩せてる人と、ご飯を食べると痩せない人がいるのはなぜ?

監修 糖サポ調査隊 糖質制限サポート調査隊

監修 医師 工藤内科 工藤 孝文

監修 医師・大学教授 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 川浪 大治

監修 医師 Alohaさおり自由が丘クリニック 院長 藤堂 紗織

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ねえねえきっつん、きっつんは食いしん坊なのに、どうしてスマートなの?
ん?逆に聞きたいんだが、めたぬーはどうしていつもそんなにマルマルころころしてるんだ?
だってボクも食いしん坊だし、ごはんのおかわり最低でも5杯するし、おかし大好きだし、運動キライだし、いつもゴロゴロしてるし、ご先祖様はタヌキだし…
う~ん、もはやナチュラル・ボーン・メタボだな…。じゃーコロコロタヌキのために、ご飯と体重増加の関係を、糖サポ調査隊に調べてもらうか。
了解!これまで3人の医師の先生方(工藤先生・川浪先生・藤堂先生)に教えて頂いたお話を整理して、その答えのヒントを探ってみよう!
ダイエット中に「ごはん(お米)を食べると太る」「ごはんを食べても太らない」あるいは「食べた方がいい」「できるだけ食べない方がいい」etcと、さまざまな見解があるようです。 実際はどうなのでしょう?そこで、3人の医師の見解を元に整理してみました。
痩せやすい人、太りやすい人、7つの違い

1.基礎代謝の違い
基礎代謝とは、体が生命維持のために消費するエネルギー量のことです。基礎代謝が高い人は、安静時でも多くのカロリーを消費します。運動量や筋肉量が多い人、または若い人は、基礎代謝が高くなる傾向があります。逆に、基礎代謝が低いと、同じ量の食事を摂ってもエネルギー消費が少なく、脂肪として蓄積されやすくなります。
2.筋肉量と体組成の違い
筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費します。筋肉量が多い人は、運動していなくてもその分、カロリーを多く消費するので、食事をしても太りにくいです。一方、筋肉量が少ない人は、同じ食事量でもエネルギーの消費が少ないため、余剰分が脂肪として蓄積されやすくなります。
3.遺伝的な要因
遺伝も体重に影響を与えます。体重が増えやすい体質の人と、逆に食べても太りにくい体質の人がいます。遺伝によって、ホルモンの働きや脂肪の蓄積の仕方が異なるため、同じ食事でも結果が異なることがあります。
4.食事の内容と食べ方
食べる量だけでなく、食べる内容や食べ方も重要です。例えば、糖質や脂質の多い食べ物を頻繁に摂取すると、エネルギーが過剰になりやすいです。逆に、野菜やたんぱく質を中心にしたバランスの良い食事を摂っている人は、体重管理がしやすくなります。また、食事の時間帯や食べるスピードも影響します。早食いや夜遅い時間の食事は、過剰にカロリーを摂取しやすくなります。
関連記事 血糖値の急上昇を防ぎ、ダイエットを成功させる『食べる順番』。
5.ホルモンバランス
ホルモン、特にインスリンやレプチン(食欲を調整するホルモン)は、体重に大きな影響を与えます。インスリンが過剰に分泌されると、脂肪が蓄積されやすくなり、逆にレプチンの働きが弱いと満腹感を感じにくくなり、食べ過ぎにつながることがあります。
6.運動習慣
運動を習慣的に行っている人は、カロリー消費が高く、筋肉量も増えるため、食べても太りにくいです。逆に運動不足の人は、消費カロリーが少なく、食べた分のエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
7.生活習慣やストレス
ストレスや睡眠不足も体重に影響を与えます。ストレスが溜まると、過食や甘いものを欲しがることが多くなり、体重が増えやすくなります。また、睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲が増加することがあります。
これらの要因が複雑に絡み合っているため、同じ食事を摂取しても体重の増減が異なるのです。個々の体の状態や生活習慣に合わせた対策が必要ですね。
ごはん(お米・炭水化物)のコントロールがダイエットに有効なメカニズム
ごはん(特に炭水化物)の摂取量の制限は、ダイエットに有効な場合もありますが、その効果は制限の仕方や個々の体質、生活習慣によって異なります。炭水化物を制限することで、体重減少に繋がるメカニズムをいくつか見てみましょう。


カロリー摂取の削減
ごはんを含む炭水化物はエネルギー源として重要ですが、摂取量が多すぎると、消費しきれなかったカロリーが脂肪として蓄積されます。炭水化物を減らすことで、総摂取カロリーが減少し、その結果、体重が減る可能性があります。
血糖値の安定
炭水化物を摂取すると、血糖値が上昇します。特に白米や精製された炭水化物(白パン、スイーツなど)は急激に血糖値を上昇させ、その後急降下することがあり、これが空腹感を引き起こし、過食を招く原因となります。炭水化物を適切に制限することで、血糖値の急激な変動を抑え、安定した食欲を保ちやすくなります。
インスリンの分泌を抑える
炭水化物を摂取すると、インスリンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げるために重要な役割を果たしますが、過剰に分泌されると、脂肪の蓄積を促進する働きもあります。炭水化物を制限することでインスリンの分泌が抑えられ、脂肪が蓄積されにくくなります。
関連記事 インスリンの働き~糖質制限したら「痩せるだけじゃない」5つのスゴイ効果
ケトン体の生成(低炭水化物ダイエット)
炭水化物を極端に制限すると、体はエネルギー源として脂肪を使うようになり、その過程で「ケトン体」という物質が生成されます。ケトン体は脳や体のエネルギー源となり、脂肪が燃焼しやすくなるため、ダイエット効果が期待できます。このメカニズムは「ケトダイエット(ケトジェニックダイエット)」として知られています。
関連記事 「ケトジェニックダイエット」は究極の「糖質制限」?
体の水分量の減少
炭水化物を制限すると、最初のうちは体重が急激に減ることがありますが、これは体内のグリコーゲン(炭水化物の貯蔵形態)が減少し、それに伴って水分も失われるためです。これは一時的な減量であり、脂肪が減ったわけではないことを理解する必要があります。
食欲の抑制
炭水化物を摂りすぎると、血糖値が急激に上がり、下がるときに空腹感が増すことがあります。しかし、炭水化物を適切に制限し、代わりにたんぱく質や健康的な脂肪を摂取することで、食欲が安定し、過食を防ぐことができる場合があります。
低炭水化物ダイエットは、主食(炭水化物)の見直しからはじめよう
毎日食べる主食だから。続けることが何より大事だから。

私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限や低炭水化物ダイエット成功のカギを握っていると言えます。
低GI&低糖質&低カロリーな「お米」もあるよ♪
「糖質とカロリーがカット」され「GI値が抑えられ」、「低炭水化物」な、こんなお米もあります。お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」が含まれています。もちろん、グルテンフリーです。

炭水化物制限ダイエットの注意点

炭水化物制限が有効な場合もありますが、極端に制限しすぎると、以下のような問題が発生することがあります。
エネルギー不足
炭水化物は重要なエネルギー源であるため、必要以上に制限すると、体力や集中力が低下する可能性があります。
栄養不足
炭水化物を完全に排除することで、野菜や果物から得られるビタミン、ミネラル、食物繊維が不足することがあります。
持続可能性
長期間にわたって炭水化物を極端に制限することは、精神的にも難しく、ストレスや食べ過ぎの原因になりがちです。
バランスを考えた制限が鍵
ご飯を含む炭水化物の摂取量を適度に減らすことは、ダイエットに有効な場合がありますが、極端な制限ではなく、バランスを考えた食事が重要です。例えば、以下のような方法が推奨されます
低GI(グリセミック指数)の炭水化物を選ぶ
白米ではなく、玄米や全粒粉のパン、野菜や豆類など、低GIの食品を選ぶことで、血糖値の急激な上昇を避けられます。

関連記事 糖質だけ気にしてもダメ?『GI値』そして今注目の『GL値」って何?
適切な量を摂取
1日の摂取カロリーに合わせて、ご飯の量を調整することが重要です。過剰な摂取を避けることで、体重管理がしやすくなります。
たんぱく質や健康的な脂肪を摂る
炭水化物制限を行う場合でも、たんぱく質や脂肪をしっかり摂取することで、満腹感を得やすく、筋肉を維持しながらダイエットが進みます。
\先生方からのアドバイス /
炭水化物の摂取量を制限することはダイエットに有効な手段の一つですが、その方法を極端にしないこと、バランスを保ちながら行うことが大切です。個々の体質や生活習慣に合った方法を見つけることが、成功する鍵となります。
調査結果
人のカラダも環境もライフスタイルも、人それぞれ十人十色です。だから従来の「一律のアプローチ」を超えて、ダイエットや糖質制限、健康維持においても、個人の体質やライフスタイルに最適化・個別化された方法を見つけ出すのが大切なアプローチのようですね。
やっぱりボク、ごはん食べ過ぎみたいだから、ちょっと減らすようにするよ…。
ま、それがいいかもな。
おかわり5杯を4杯に…。
いっそのこと、釜ごと4釜おかわりしてろ!

監修

糖サポ調査隊
糖質制限サポート調査隊
「糖質制限している人たちをサポートしたい!」「この情報をいち早く届けたい!」との想いを熱く燃やしながら、へるおいしー(ヘルシー&おいしい)情報があればどこまでも調査に飛んでいく、糖サポの調査部隊。
監修

医師
工藤内科 工藤 孝文
内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。
NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。また、著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」は15万部突破のベストセラー。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会など多くの学会に所属。
2021年5月から開始となったYouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』を開設。
監修

医師・大学教授
福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 川浪 大治
・1998年 福岡大学医学部医学科卒業
・1998年 虎の門病院 内科研修医
・2004年 東京慈恵会医科大学 大学院博士課程修了
・2013年 同 糖尿病・代謝・内分泌内科 講師
・2018年 同 准教授
・2019年 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学 教授
現日本内科学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会の専門医として診療に従事。
監修

医師
Alohaさおり自由が丘クリニック 院長 藤堂 紗織
日本医科大学医学部卒業。
日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。
その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。
現在は、Alohaさおり自由が丘クリニックを開業。内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜している。
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