SHARE

「午後5時から始める糖質制限」

+2060001

糖質制限と生活

おしえて、先生!

糖質制限と睡眠の関係性とは?睡眠不足も太る原因?

糖質制限と睡眠の関係性とは?睡眠不足も太る原因?

監修 医師 工藤内科 工藤 孝文

糖質制限と睡眠の関係性とは?睡眠不足も太る原因?

ふあぁ~。眠い…… 

おまえ、また夜更かししただろ!  

最近ハマってる海外ドラマがあってね~♪  

睡眠不足はダイエットの大敵だぞ! 
工藤せんせーい、この夜更かしたぬきに「睡眠とダイエットの関係」 について、教えてあげてくださーい! 

糖質制限ダイエットは食事と運動が重要だと思われがちですが、実は睡眠も大きく影響します。成功に導くための睡眠について、専門家が解説します。 

睡眠を侮るなかれ

現代人は睡眠不足の傾向に

人間のベストな睡眠時間は7~8時間といわれていますが、忙しい現代社会で頑張っている皆さんは、もしかしたら睡眠時間が短く、睡眠不足に陥っているかもしれません。事実、働き盛りの男女に平日の睡眠時間を聞いてみると、6時間の睡眠時間の人が最も多く、「5時間未満」と答える人も全体の3割弱いました。 

「別に7時間未満でも十分眠れているから問題ない」と思うかもしれません。しかし、さらにここ1年間で感じた体の症状について尋ねると、睡眠時間が4時間未満の人が「肥満症状を自覚している」と答える割合は高く、睡眠時間が4時間以上の人よりも約3倍も肥満が多いといわれています。そう、睡眠不足によって体がダメージを受けているのです。 

睡眠中に分泌されるホルモンに秘密が

新陳代謝を活性化させる成長ホルモンは夜働く

睡眠不足が肥満に影響していることは、気のせいでも何でもなく、睡眠中に分泌される2つのホルモンが関係すると考えられます。1つ目は新陳代謝を活性化させる「成長ホルモン」。この成長ホルモンは、筋肉を増やして体脂肪を減らすなどダイエットに欠かせないもの。しかもこのホルモンの分泌が最も盛んになるのは、22時~2時の間といわれています。 

そのためこの時間に眠れなかったり、睡眠不足になったりすることが続くと、別名「痩せホルモン」ともいわれるこの成分の分泌が減少し、新陳代謝の低下から太りやすくなったり、肌荒れを招いたりするのです。 

2つ目は食欲抑制効果を持つ「レプチン」。しっかりと睡眠がとれている人はレプチンの分泌が多くなるので寝ている間でも痩せやすい体づくりができますが、睡眠時間が少ない人は、逆に食欲を増進させる「グレリン」の分泌が高まる危険性も。ダイエットの効果をより一層高めたい人こそ、たっぷりと睡眠をとる必要があるということがわかりますね。 

糖質制限ダイエットは睡眠の質を向上させる

実は、糖質制限ダイエットは睡眠に良い影響があるといわれています。人間の体は交感神経と副交感神経が24時間絶えず動いていて、通常、睡眠時はリラックス時に働く副交感神経が優位なのが理想的です。しかし、過剰に糖質を摂取する食生活が続くと交感神経が優位となってしまい、興奮状態が維持される時間が長くなってしまうのです。 

なかなか寝付けなかったり、寝ても何だかすっきりしなかったりする人は、糖質の摂取量が多くないか、今一度食生活を振り返ってみてください。私が推奨する緩やかな糖質制限は1日の糖質量が130g以下になるようにおすすめしています。白米1杯約150gを食べると、糖質量は約53g。1日3食1杯ずつ食べ、さらに糖質の多いおかずや調味料なども食べるとなると、糖質は130g以下どころか200g程摂ってしまうことになります。 

ちなみに、睡眠時無呼吸症候群を発症している場合も、睡眠中なのに交感神経が活発になってしまい、睡眠の質が下がるといわれています。そもそも睡眠時無呼吸症候群の大きな原因は「肥満」ですから、糖質制限をすることで睡眠の質が向上するのは言わずもがなというわけです。 

関連記事:「糖質制限ダイエットはリバウンドしやすい」って本当なの!?

関連記事:リバウンドしない正しい糖質制限ダイエットのやり方は?

より良い睡眠のために必要なこと 

過度な糖質制限に注意

ただし、過度な糖質制限は逆に睡眠不足を誘発するおそれがあります。お腹がいっぱいになると睡魔に襲われてウトウトしたという経験は、ほとんどの人があるでしょう。それは、白米やパンなどの炭水化物を摂取したことで血糖値が上昇するからなのです。 

つまり、糖質を制限しすぎるとずっと低血糖の状態が続くため、血糖値に大きな変動が訪れず、なかなか眠くならないという可能性があるのです。 

また、糖質は脳にとって重要なエネルギー源。これが長期にわたって不足していると、脳の働きが鈍くなってしまい、体調不良から不眠につながることも考えられます。早く結果を出したいからと、極端に糖質を削ったり、夕食を食べなかったりという行為は、結果として太りやすい体をつくってしまいますし、ダイエットどころか不健康になる恐れすらあるのです。 

より良い睡眠のために「主食」の糖質コントロールを

私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。

お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。

関連記事:糖質だけ気にしてもダメ?『GI値』そして今注目の『GL値」って何? 

午後5時から糖質制限で睡眠の質をアップ 

糖質制限ダイエットにまだ慣れていない人ほど、こうしたストイックな方法に走りがちです。そこで私がおすすめしたいのは「午後5時から糖質制限」。糖質を意識するのは夕方5時以降でOKという、緩めのダイエット方法です。これならストレスなく続けられますし、夕食の糖質が減るので睡眠の質の向上も期待できます。 

とはいえ、夜の糖質をゼロにするのは難しいという人もいるでしょうから、夜は砂糖や果物、お菓子などの甘いものや炭水化物を少し減らす、もしくは夜だけ抜いて、血糖値の上昇を緩やかにしましょう。糖質制限ダイエットをしたいからといってストイックにやりすぎてはいけません。こうしたやり方は長続きできず、ストレスから暴飲暴食に走り、結果、リバウンドを招くということになりやすいのです。深く考えずに、「夜はいつもより白米や麺などの炭水化物、甘いものを少し減らそう」と考えれば十分。楽しく緩やかな糖質制限ダイエットを意識してください。 

夜にどうしても甘いものが食べたくて我慢ができなくなってしまったら、低糖質のお菓子を少しだけ食べたり、70%以上のハイカカオチョコレートを一口かじったりするだけでも食欲が落ち着きますよ。 

今日から海外ドラマはお昼だけにする! 

そうだな!ちなみに、何てドラマ? 

関連記事:これでリバウンドなし!「午後5時から糖質制限ダイエット」その方法とは?

監修

工藤 孝文

医師

工藤内科 工藤 孝文

内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。

専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。

NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。また、著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」は15万部突破のベストセラー。

日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会など多くの学会に所属。

2021年5月から開始となったYouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』を開設。