きっつん、今日も朝から和食をた~っぷり食べて元気いっぱいだよ~
ふーん。 和食ねぇ。
どうしたの?和食ってカラダにいいんでしょ!?
和食はヘルシーな印象あるけど、本当に体にいいのか疑問だぞ。
工藤せんせーい、和食って本当に健康やダイエットにいいんですか?
教えてくださーい!
糖質制限はジャンクフードや甘いお菓子を控えればよいかと思いきや、実は和食にもたっぷり糖質が!和食と糖質の意外な関係について解説します。
「和食が健康食」ってホント?
めたぬき、きっつん、こんにちは。良いところに気がつきましたね。では、糖質と和食の深い関係についてお話していきましょう。まずは和食が健康食かどうかはさておき、糖質制限向きなのかどうなのか。
ズバリ答えは…。
「ウソ」
古くから日本人に親しまれてきた和食は脂質の低い料理が多いため、一見すると「ヘルシー」だと思われがちですよね。ところが、脂質は低くても糖質は非常に高いのが、和食の特徴。ズバリ、糖質制限と和食はあまり相性が良いとはいえません。
実は「高糖質」な和食
和食に潜む罠
日本人のソウルフード・白米。ふっくらツヤツヤに炊かれたお米は、古くから日本人の食を支えてきてくれました。2013年には、ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されるなど、世界からも注目を集めてきました。
そんな和食を「質素だから健康に良い」という人がいます。しかし、それは大きな間違い。だって、白米には1杯150gあたり約53gの糖質が含まれているからです。1日の糖質量を130g以下にするロカボ(緩めの糖質制限ダイエット)をしている人でも、これだけですでに1日の許容量の1/3以上を満たしてしまっています。これに、煮物や玉子焼きなどのおかずが加わると1食ですでに糖質を摂り過ぎていることになります。
なぜなら煮物や玉子焼きには、砂糖やみりんといった糖質が多く含まれる調味料をたくさん使うからです。事実、カレイの煮付け・ごはん・味噌汁・漬物・副菜がセットになった「煮魚定食」の糖質量は、約72gと明らかに糖質過多。これでは、菓子パンを食べるのとそう変わりません。
長寿の秘訣は糖質制限!
東北大学名誉教授の近藤正二医学博士は、36年間にわたって「長寿者が多い村」「短命者が多い村」を探して日本全国990の町村を渡り歩き、彼らの生活様式を調査しました。その結果をまとめた著書「日本の長寿村短命村」の中には「白米の食べ過ぎは短命」「果物を多く摂る村は短命」「塩分を摂り過ぎている村は短命」など、長寿者か短命者かを決めるのは食生活次第であるということが、あらゆる角度からまとめられています。
「塩分を摂り過ぎると健康を害する」ことは常々いわれてきましたが、白米の糖質が健康に影響するという結果には、多くの人が驚きました。それほど、日本人の生活には白米が密接に関わってきたということですね。
また、和食には実は糖質だけではなく塩分も多く含まれています。定食を頼むと必ずといっていいほど小皿にのって出てくる漬物。その他、味噌汁や煮物に使われる醤油。焼き魚にふりかけられる塩……。ありとあらゆる食べ物に塩が使われています。塩は保存性を高めたり、うま味を引き立たせたりといった効果があるため、昔から和食には欠かせませんでした。そう、日本人の食生活は伝統的に糖質に加えて塩分摂取量が多いのです。ますます、和食=健康食だとはいえなくなってきますね。
糖尿病になりやすい日本人
さて、糖質の過剰摂取によってかかってしまう重大な病のひとつに「糖尿病」があります。平成28年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる「糖尿病有病者」と、糖尿病の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は、いずれも約1000万人ずついると推計されています。これほど多くの日本人が糖尿病と隣合わせの生活を送っているのです。
実は糖尿病は「国民病」ともいわれ、日本人は欧米人よりも非常に罹患しやすいといわれています。欧米人の方が肥満率は高そうなのに、なぜ……? と思われるかもしれませんが、これには食文化の歴史の違いが原因です。
日本人はかつて、米や穀物が中心の高炭水化物・低脂肪の食事を好み、農耕民族としてよく体を動かしていました。このことから、高炭水化物食でもエネルギーとして糖質が代謝されていたのでインスリンの分泌が少なくても問題なかったのです。こうして日本人はインスリンの分泌が少ない体質へと進化していきました。一方、欧米人は大量の肉を好む食生活が基本だったため、高カロリー食に強く、インスリンの分泌量も多い体質が作り上げられたといわれています。
しかし、現代の日本人はどうでしょうか。高炭水化物は続いているものの、昔より運動量は減っていて、さらには「飽食の時代」で栄養バランスも崩れやすくなっています。多くの人が送っている今の食生活は、日本人の体質には合っていないのです。
和食=悪ではない!
とはいえ、和食にもいい点はたくさんあります。旬の野菜や魚など、さまざまな食材を使うことで、食物繊維やビタミン、ミネラルなど体の調子を整える成分が多く体に取り込めます。また、味噌汁や納豆などの発酵食品は、免疫機能の向上や疲労回復など実にたくさんの効能を秘めているのです。
和食は高糖質で高塩分食である一方、栄養バランスに優れた一面も持ち合わせています。ですから、必ずしも「和食は糖質制限に合わないから絶対に食べてはいけない」というわけではありません。例えば、白米の量を半分にして炭水化物の摂取を抑えたり、砂糖やみりんは糖質ゼロのものを使ったり、味噌や塩は減塩のものを使ったり、と工夫次第で健康に良い和食を楽しむことができるのです。
発酵食品のメリット
- ●腸内環境が整う
- ●免疫機能が高まる
- ●代謝が促進される
- ●夏バテ防止・疲労回復が期待
糖質制限ダイエットは、主食(炭水化物)の見直しからはじめよう
毎日食べるごはんだから。続けることが何より大事だから。
私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。
和食でも、こんなごはんなら糖質もカロリーも気にならないね♪
お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。
大切なのは何事も“ほどほど”を意識すること。極端に食べ過ぎるのも良くありませんし、かといって極端に減らすのも逆効果ですから、自分の体や生活習慣に合った食べ方の工夫を探してみましょう。
糖質の摂取量をストレスなくコントロール
おすすめは「午後5時からの糖質制限」
「じゃあ一体、糖質はどのくらいに抑えたらいいの?」「一日何グラムまでなら食べていいの?」――そんな声が聞こえてきそうですね。厳密に「糖質は一日このくらいまで」と決めて行う糖質制限ダイエットもありますが、これを続けるのはなかなか至難の業。毎回食事内容を記録しなければなりませんし、食べるたびに「この食材の糖質は…」と計算するのは非常に手間がかかります。これがストレスとなり、糖質制限ダイエットを挫折してしまった人もたくさん見てきました。
そこで私がおすすめしたいのは「午後5時から糖質制限」。糖質は必ずしもゼロにしなければいけないわけではなく、摂取量のコントロールをすることが大切です。とはいっても、ダイエット初心者であればなおのこと上手なコントロール方法を見つけるのには時間がかかるでしょう。
しかし「午後5時から糖質制限」なら、「夕方以降は糖質を摂るのを制限しよう」と決めるだけでOK。白米やパンなどの主食、ビールや日本酒など糖質の高いお酒を控えて、糖質の低いものを意識して食べる。これだけでも十分に効果は得られます。続けていく中で、もし「私はもっと糖質量を制限してもいけるかも」と思ったら、さらにレベルの高い糖質制限に移行してもよいでしょう。無理なく、ストレスなく、楽しいダイエット生活を送ってくださいね。
関連記事:糖質制限ダイエットに最適!?流行の「ロカボ」って何?
和食にも、メリット、デメリット両方あるんだね。
めたぬーの場合はいつも食べ過ぎだからデメリットしかねーぞ!
監修
医師
工藤内科 工藤 孝文
内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。
NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。また、著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」は15万部突破のベストセラー。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会など多くの学会に所属。
2021年5月から開始となったYouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』を開設。
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