問題です!甘いのにいくら食べても太らないものってな〜んだ。
いきなりクイズか?めたぬー、もしかしてその答えって人工甘味料って言おうとしてないか?
え?何で分かったの?だって人工甘味料って甘いのに太らないんでしょ?
カロリーはほぼないらしいけどな。でも言い切っていいのかな? 詳しくは先生に聞いてみようぜ。
工藤せんせ〜、これってウソなの?ホントなの?
最近は人工甘味料によってカロリーや糖質を抑える食品やスイーツが増えてきました。確かに、キャッチコピーにカロリーゼロと書かれていると「太らないから食べても大丈夫」と安心してしまいますよね。そこで、人工甘味料で糖質制限や血糖コントロールができるのか、そして、甘いものをすべて人工甘味料で摂ることで体に影響はないのか、専門の医師にお尋ねしました。
工藤先生、「人工甘味料で血糖値コントロールできる」のはウソ?ホント?
めたぬき、きっつん、こんにちは。人工甘味料で血糖値コントロールできるかどうか、気になりますよね。その答えは…
「ほぼホント」
人工甘味料について正しい知識を持とう
人工甘味料のメリット・デメリット
人工甘味料を使うことで血糖値コントロールができるということに限定すると「ホント」です。カロリーゼロをうたっているのになぜ甘みを感じるのか。それは人工甘味料が使用されているからです。中には化学的に合成された「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムカリウム」といった非糖質系の合成甘味料が使われている場合もあります。
これら合成甘味料には、血糖値を上昇させるブドウ糖は含まれていないため、血糖コントロールをすることは可能です。
しかし、以前にもお伝えした通り自然界にはなく人工的に作られたもので、大量に摂取すると副作用が起きる可能性があるともいわれ、安全性の低さを危惧する人もいます。
甘さを感じるのにゼロカロリーだから、と安心して食べ過ぎるのはあまりおすすめしません。
関連記事:食品表示の「糖質オフ」や「糖類ゼロ」の違いや注意点とは?
中毒性・依存性に気をつけよう
また、人工甘味料は血糖値が上がらないとはいえ中毒性が高いのも特徴です。カロリーがないから、血糖コントロールができるから、と食べ続けると強い甘さに慣らされて甘いものに依存してしまい、自然の甘さでは物足りなくなってしまう可能性もあります。そうなると悪循環です。
糖質制限ダイエットは積み重ねが大切です。ストレスなく続けていくために、甘いものがやめられない、どうしても甘いものが欲しい人は、人工甘味料の入った低糖質のもので血糖コントロールをするところから始めて、少しずつ甘いものを食べる回数を減らしていくことをおすすめします。
思わぬ落とし穴がある場合も!
冒頭の質問に「ほぼホント」と答えたのは思わぬ落とし穴があることが理由です。確かに成分上は糖分を摂っていないので血糖値は上昇しないのですが、これが人の体の不思議で、舌が甘みを感じると『甘いものを食べた=糖質が入ってきた』と脳が錯覚することがあるのです。
そうなると、血糖値が上がっていないにもかかわらずインスリンが分泌され、血糖値が下がり過ぎることにもつながりかねません。血糖値が下がると空腹感を感じたり、ますます甘いものが食べたくなったり、ダイエットには適さない状況に陥るだけでなく、インスリンの過剰分泌は肥満の原因にもなります。
カロリーがないからと言ってダイエット中に頻繁に食べることは避けた方がいいでしょう。
関連記事:糖質とは? 人はなぜ太る? カロリーの摂りすぎで太るは間違いだった?
天然甘味料を上手に活用しよう
血糖値を上げない天然甘味料について
また、合成甘味料のほかにも血糖コントロールができる甘味料があります。それが「天然甘味料」です。羅漢果やステビアや甘草などがあります。
羅漢果
羅漢果は強い甘みを持つ多年草つる性の植物で、体内でエネルギーとならないためカロリーがなく、血糖値も上げないという報告が挙げられています。ですが純度100%の羅漢果顆粒は、砂糖に比べかなり高価でもあります。 国内で販売されている「羅漢果」をうたう商品は、その多くの原材料に「エリスリトール(※)」が使われている場合が多いようです。成分表示を確認しましょう。
ステビア
ステビアは、甘味を持つ植物で、その葉から抽出される天然の甘味料です。砂糖よりも甘さが約200〜400倍強く低カロリーであるため、健康志向の食品や飲料品で砂糖の代替品として利用されています。砂糖と比べて血糖値の上昇が少ないため、糖尿病患者や血糖値管理を必要とする方の調理にも利用されています。
甘草(かんぞう)
甘草(かんぞう)は甘味を持つ植物で、その根から甘みを得ることができます。砂糖の数十倍の甘さがあるとされる甘み成分のグリチルリチンを含んでいます。甘草の根は古くから医療(漢方薬)や食品に使われており、甘味料として加工されることもあります。甘味料として使用される甘草エキスには、砂糖よりも約50倍から100倍もの甘さがあります。
血糖値を上げない0kcalの砂糖代用甘味料イロイロ
サラヤの「ラカントS」に含まれているのは「羅漢果(ラカンカ)」エキスが0.8%とトウモロコシの発酵から得られる甘味成分「エリスリトール」が99.8%です。
エリスリトールは、厚生労働省でカロリーゼロと認められた甘味料です。糖アルコール100%で糖類を含まず、血糖値を上昇さない0kcal甘味料です。エリスリトールは糖質の中でも例外的な性質を持っており、体内に吸収されますが、代謝はされず、そのまま体外に排出されます。
(天然甘味料である羅漢果やステビアをブレンドした様々な名称の甘味料商品も多くありますが、エリスリトールを主原料としてる商品が大半のようです。)
糖質制限ダイエットは、主食(炭水化物)の見直しからはじめよう
毎日食べるごはんだから。続けることが何より大事だから。
私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。
お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。
カロリーゼロに惑わされるところだったな。
“甘い”話には気を付けよう、ってことだね。
めたぬーにしちゃあうまい事いうなあ。
監修
医師
工藤内科 工藤 孝文
内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。
NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。また、著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」は15万部突破のベストセラー。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会など多くの学会に所属。
2021年5月から開始となったYouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』を開設。
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