「ケトジェニックダイエット」は究極の「糖質制限」？注意点は？

短期間で痩せると話題のケトジェニックダイエット。その分リスクも大きく、注意が必要です。ケトジェニックダイエットで痩せる仕組みから実践方法まで専門家が解説します。

ケトジェニックダイエットとは

エネルギー源を糖質から脂質に変えて、脂肪を燃やす！

めたぬき、きっつん、こんにちは。今日は「ケトジェニックダイエット」についてお話ししましょうね。ケトジェニックダイエットとは、「糖質」を減らしてやせるダイエットのこと。「糖質制限ダイエットと同じでは？」と思うかもしれませんが、糖質を制限する量が違うのです。では具体的に話をしていきましょう。

皆さんは、人間が活動するためのエネルギー源が何か知っていますか？そう、それは、お米や麺類などに含まれる「糖質」なんです。ところがケトジェニックダイエットをすれば、エネルギー源が糖質から脂質に代わり、脂肪が燃えて痩せていきます。

では、どうすればエネルギー源を糖質から脂質に変えられるのでしょうか。ケトジェニックダイエットは、糖質の摂取量を極端に減らしてその分脂質をたっぷり摂ります。そうすると、体内の糖質が激減して、ケトン体（脂肪が分解される過程で生まれる物質）が増えます。その状態は「ケトーシス」と呼ばれています。ケトーシスになれば、体は脂質をエネルギ源として使うようになるので、体内の脂肪が燃やされて痩せるというわけです。

ケトーシスになったかどうかを確認する方法は、尿検査や呼気チェッカーなどがあります。ケトン体が増えると、独特な口臭や体臭が出たり、めまいがしたりとケトーシス特有の症状が出て自覚する場合もあります。

ケトジェニックのメリット・デメリット

口臭・体臭、吐き気、めまい…負担の大きいダイエット

ケトジェニックダイエットは、体脂肪が落ちやすかったり短期間で痩せることができたりといったメリットがありますが、体への負担が大きいことは知っておいてください。まず、ケトーシスになるまでが辛いと思います。

ダイエット開始直後は、体内にも糖質がしっかり残っているのでなかなかケトーシスにはなれません。絶食したとしても3〜4日はかかってしまいますし、人によっては2週間以上かかる場合もあります。その間、血糖値の乱高下で気持ち悪くなったり、めまいがしたり…それらに何日も耐えなくてはいけません。

また、リバウンドしやすいダイエット法でもあります。ケトジェニックダイエットをやめて糖質を摂るようになれば、元の状態に戻るので糖質を減らした状態をキープし続けなくてはいけません。さらに高脂肪食は血管や腎臓に負担がかかるので、持病を持っている人や、もともと体が弱いといった人は、医師の診断を仰ぐようにしましょう。

関連記事：子どもや高齢者の糖質制限ダイエットは危険？糖質制限をすすめない人とは？

糖質制限と何が違うの？正しいやり方は？

ケトジェニックダイエットは究極の糖質制限

ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットの一種です。ただし脂質をたっぷりと取る分、極端に糖質量を減らさなくてはいけないので「究極の糖質制限」だと考えてください。通常の糖質制限と違ってかなり厳しいダイエットです。

正しいやり方①～理想のPFCバランスとは

ケトジェニックダイエットの理想的なPFCバランス（タンパク質・脂質・炭水化物の割合）は、タンパク質20％：脂質75％：糖質5%という高脂質・低糖質な食事です。糖質の目安量は1日あたり30〜60g以下となかなか厳しい数字です。お茶碗1杯の白米が150gだとすると糖質量は約53gですから、その1杯で必要な糖質量に達してしまうのです。

これだけ制限が厳しいとカロリーが足りなくなるのではと心配する人もいるかもしれません。1日に必要なカロリー摂取量は、性別や年代、生活の活動量などで差がありますが、厚生労働省が公表している「推定エネルギー必要量」によれば、30～49歳の男性（活動レベル：普通）は、1日あたり約2650kcal、30〜49歳の女性（活動レベル：普通）は約2000kcalが目安です。脂質からしっかりカロリーを摂るダイエットとなるため、ケトジェニックダイエット中はカロリーのことは気にしなくて大丈夫です。

正しいやり方②～おすすめの食事例

主食を抜いて、その分、肉や魚、豆類といったタンパク質を摂りましょう。たとえば、焼肉を食べに行ったとしましょう。ここでは肉と野菜だけ食べるようにします。玉ねぎやかぼちゃなど糖質が多めの野菜は避けて、味付けは塩コショウ、レモン汁、ハーブのみ。タレは糖質が多いので使いません。もちろん締めの冷麺やビビンパも食べないようにします。

正しいやり方③～ケトジェニックダイエットで食べていいもの

ケトジェニックダイエット中は、以下の食材を中心に食べましょう。

肉	卵	葉物野菜
魚	ナッツ類	きのこ類
豆類	海藻類	良質なオイル

豆類の中でも、ひよこ豆やレンズ豆は糖質が多いので気をつけてください。

正しいやり方④～ケトジェニックダイエットで食べてはいけないもの

ケトジェニックダイエット中は、糖質が多い以下の食材はなるべく避けましょう。

炭水化物	根菜類	ジュース	お菓子
フルーツ	イモ類	お酒	加工食品

ケトジェニックダイエットに取り組むときの注意点

ケトジェニックダイエットを長期間しない

ケトーシスは体にとって正常な状態ではないので、ケトジェニックダイエットは一時的にやるダイエットだと考えてください。食事メニューも偏っているので、長期間続けると体への負担が大きいのです。また、このダイエット法は合う・合わないの個人差が大きいので、3〜4日やってみて気持ち悪くなるようでしたら、中止するようにしましょう。

自分に合ったダイエットをするために大切なこと

自分に合うダイエットは必ずあるので、まずは何のためにダイエットをするのかを考えてみることが大切です。医師としては、ダイエットの一番の目的は「健康になるため」であってほしいと思います。体重を減らすだけがダイエットではありません。体重計に乗るのはいいことですが、体重だけで一喜一憂しないこと。2〜3キロ増えたとしても、それが筋肉なら代謝が上がって痩せやすくなったということですから、健康にとっていいことです。

1ヶ月で1キロ、1年で10キロ減を目安にすると、リバウンドもしづらく、我慢している感じも少ないと思います。今まで食事制限をしていなかった人なら、夕食の糖質を減らすだけでも1ヶ月に1キロは落とせるでしょう。ただ、その翌月は痩せづらいので運動を加える必要はあります。ウォーキングやストレッチなど軽い運動からはじめていくと、少し体重の減少が停滞したとしても、また痩せることができるでしょう。

ケトジェニックダイエットより緩やかな糖質制限がおすすめ

ダイエットは体の調子を良くするためにやるものなので、長期間続けられる方法を選んでくださいね。その点でも無理なく続けられる緩やかな糖質制限ダイエットはおすすめです。「今日は甘いものを食べたから、夕飯はお米を減らそう」と、そのぐらいから緩やかに始めてみてください。そして、緩やかな糖質制限ダイエットをするなかでも、活動量が減る夜に糖質を制限するのが最も効果的。ダイエットを短期戦で挑むよりも、緩く長く長期戦でやることが、健康のためにも大切です。

関連記事：色んなダイエットを比較！おすすめは糖質制限ダイエット？

糖質制限ダイエットは、主食（炭水化物）の見直しからはじめよう

毎日食べるごはんだから。続けることが何より大事だから。

私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質（炭水化物）を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。

お茶碗１杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。