糖質制限とダイエット
これって、ウソ?ホント?
糖質制限したら「頭痛がしたり、集中力がなくなった」これってホント!?
監修 医師 工藤内科 工藤 孝文
目次
ねえね、きっつん。糖質制限を始めたら頭がぼーっとするような気がするんだけど、気のせいかな?
めたぬーはいつも「ぼーっと」してるじゃん?
そんなことないもん!いろいろ考えてるんだよ!
気になるんだったら、糖質制限に詳しい、工藤孝文先生に聞いてみよう!
糖質制限について、世間で認識されている知識は間違っていることも多いもの。根拠なく流れている都市伝説のような情報がホントなのかウソなのか、専門の医師がお答えします。
「糖質制限したら頭痛がしたり、集中力がなくなった」これってホント!?
めたぬき、きっつん、こんにちは。では今日は糖質制限ダイエットをすることで「頭痛」「集中力が続かない」といった症状がでるのかお話しますね。ではまず、こうした症状が糖質制限ダイエットをしたことによるものなのか、答えは…
半分ウソ
糖質制限ダイエットは慣れるまで時間がかかる場合も
「頭が働かない」「集中力が続かない」は低血糖が原因
これまでに糖質を過剰に摂取していた場合、体が急な変化に追いつかず、慣れるまで少し時間がかかります。そのため、糖質制限ダイエットを始めたばかりのころは「何となく頭が働かない」「集中力が続かない」などといった状態になることも少なくありません。これはいわゆる「低血糖状態(低血糖症)」が起きているのです。
一般的に、血糖値が70mg/dl未満になると低血糖の状態になり、50mg/dL未満まで下がると脳がエネルギー不足に陥るといわれています。低血糖状態になると、脈が速くなったり、手や指が震えたり、集中力が低下したり、といった症状が表れるようになります。
正常な血糖値は空腹時が99 mg/dL未満、随時血糖(食事時間とは無関係に測定した血糖値)が140 mg/dL未満とされていますから、血糖値が70mg/dl未満、50mg/dl未満というのはかなり血糖値が低い状態になってしまっている状態です。車にとってのガソリンと同じように、脳が元気に動くための燃料が不足してしまうと車は正常に動きませんよね。いわばこれと同じ状態が起きるというわけです。
1週間ほどで症状は軽減する
ですがその時々の詳細な血糖値を知るには、病院で検査するか、血糖値測定器が無ければ自身で知ることはできませんよね。
ですが、ほとんどの場合、1週間ほどダイエットを続けているうちにそうした症状が消えて、自然と慣れてくるので問題ないといえます。ですから「糖質を制限していたら、頭がぼーっとする」「頭が働かない」などの症状が出ることは本当ではあるものの、その人の体質によるものもありますし、危険ではない場合が圧倒的に多いので「△(半分ウソ)」ということにしておきましょう。どうしても不安が残るようでしたら、病院での血糖値検査をお勧めします。 採血で簡単に検査ができます。
もちろん上記のような症状が出るからといって、ダイエットをやめる必要はありません。糖質制限により、血液中の糖質であるグルコース(ブドウ糖)の量が減ると、肝臓に蓄えられた、筋肉などのエネルギー源となるグリコーゲンが使われはじめます。こうして体が自力で糖エネルギーを作り出すことを「糖新生(とうしんせい)」といい、これこそが糖質制限ダイエットの仕組みなのです。
言い換えるならば、糖質が入ってこない状態による症状が体に出ているということはダイエットがうまくいっている証でもあります。ただ、少し放っておいても戻らない場合は体質に合わない可能性が高いため、無理しないことが大切です。もしもあまりにも「手が震える」「立ちくらみがする」といった症状が続き、仕事や日常生活に支障が出てきたら、糖の吸収が早い飴玉やジュースを摂り入れるようにしましょう。
糖質制限ダイエット中にはこんな症状も
交感神経が優位となり「睡眠不足」を感じる場合も
また、中には「糖質制限を始めたら睡眠不足になった」と訴える人もいます。
これは、低血糖状態になると血糖を上昇させるホルモンやアドレナリンが出て、交感神経が優位になるからです。もしも睡眠不足を感じる場合は、夕飯にGI値(食後血糖値の上昇度を示す指標)が低いものを食べると血糖値の上昇を緩やかにしてくれるため、寝付きが良くなるでしょう。どうしてもお腹が空いて眠れないというときには無理して我慢をせず、GI値が低い市販の栄養食品を少し食べるのもおすすめです。
関連記事:糖質だけ気にしてもダメ?『GI値』そして今注目の『GL値」って何
3食の中で、夜だけ糖質制限をはじめよう
「夜だけ糖質制限」だと、ストレスなく続けられる
糖質は摂り過ぎても良くないし、摂らな過ぎても良くない。「じゃあ、一体どのくらいならいいの!?」――そんな声が聞こえてきそうですね。日本人の多くは1日に300gほどの糖質を摂っているといわれています。ごはん1杯150gだとすると糖質は約53gですから、3食お茶碗1杯食べて、さらにおかずや間食や飲み物でも糖質を気にせず摂っていれば、300gほどの糖質を摂ってしまう人が多いはずです。
しかし、糖質制限ダイエットを心がけている人でもストイックにやりすぎるのはNG。糖質制限はストイックにやればやるほど効果が表れやすいのは事実です。しかし、糖質を完全に断つやり方は挫折しやすく、リバウンドしてしまう人が多いのです。ですから最初は緩めの糖質制限ダイエットからはじめていきましょう。
1日に摂る糖質摂取量の目安としては、3食+間食を含めて合計70~130gを摂るようにしてください。とはいえ「じゃあ、朝40g、昼40g、夜40gぐらいの糖質を摂ったら良いんだ」というような適当な内訳はNGです。脂肪は夜につきやすいため、糖質を抑えるのは夜が適しているのです。ですから、活動量の多い朝と昼はエネルギー源である白米や麺類などの炭水化物をしっかり食べるようにして、日中に比べると活動量が減る夕方以降はGI値が低い食品を食べるというように、緩めの糖質制限をする「午後5時から糖質制限」は非常に理にかなっているといえます。
関連記事:これでリバウンドなし!「午後5時から糖質制限ダイエット」その方法とは?
糖質制限ダイエットは、主食(炭水化物)の見直しからはじめよう
毎日食べるごはんだから。続けることが何より大事だから。
私たちの日常の食生活で、最も多くの糖質(炭水化物)を摂取しているのは、ごはん、パン、麺といった「主食」からです。その主食の「ガマンしない、ムリしない」糖質とカロリーのコントロールが、糖質制限やダイエット成功のカギを握っていると言えます。
無理のないダイエットに、こんな👇こんにゃく米はいいかもね♪
お茶碗1杯、レタス約半玉分の「食物繊維」を含む、GI値を抑え、「糖質とカロリーがカット」されたこんなお米もあります。
関連記事:糖質だけ気にしてもダメ?『GI値』そして今注目の『GL値」って何?
脳が不快感を覚えると、何事もうまくいきません。ダイエットを成功に導くには、ストレスフリーでいることが大切なのです。難しく考えず、ポジティブに緩めの糖質制限ダイエットをはじめてみましょう。
頭がぼーっとするのは人それぞれなんだね。
ぼーっとしてたら、後ろからつつくからな!
監修
医師
工藤内科 工藤 孝文
内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。
NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。また、著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」は15万部突破のベストセラー。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会など多くの学会に所属。
2021年5月から開始となったYouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』を開設。
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